チェチェンへの旅 2008年秋

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子どもの先天的な障害というと、いつも因果関係に関心が向く。戦時に劣化ウラン弾が使用されたとか、枯葉剤が
森林部に撒かれたとか。それも否定できないのだが、チェチェンの場合、複合汚染で、原因特定はきわめて難しい。
チェルノレーチエ村と首都グローズヌイの間は、北カフカス最大の石油精製施設や石油関連化学工場群が存在した。
ロシア軍は付近の丘陵地帯から、この大工場群に雨霰と凄まじい砲撃とミサイル攻撃を加えて、破壊した。炎上する
煙とともに蓄積された雑多な化学物質が大空高く舞い上がり付近一帯に深刻な環境汚染をもたらした。

2008年秋に、国際医療慈善団体「オペレーション・スマイル」のチェチェン・ミッションが実施された。口唇口蓋裂児童の
無償修復手術を60件実施した。400件以上の希望者から、120件の候補を選んだが、人口100万のチェチェンに1500人
以上の障害児がいるのではと、予想している。バイエフ医師は、候補患者の選択や、予後のケアにあたってきた。



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市立第9病院手術室で、バイエフ医師は、チェチェン滞在中、無償手術を続けてきた。蓄膿症を患う若者がとても多い
という。



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手術室でのバイエフ医師。



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病院からの眺め。これらの建物の向こうに、ロシアの人権団体の在チェチェン事務所があるのだが、常時、監視されて
いる団体にわざわざ出かけて、治安特務機関を刺激するのは、私の趣味ではなかった。

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