チェチェンの首都 グローズヌイ 上空からの眺め

グーグルの衛星写真でグローズヌイを訪問した。


この衛星写真からみなさんは、何を読み取るだろうか? この画面では、チェチェンの首都グローズヌイを中心に、上方に玄関口である北空港と
その滑走路を、また右下方には、ソ連時代、民間軍支援組織DOSAFの訓練飛行場であったハンカラ基地を意識的にフレームに入れている。


北空港。今や国際空港のステータスを持ち、直接国際線が運航できるよう、旅券審査、税関検査の機能を備えている。東西に滑走路が伸び、駐機
エプロンには、チェチェンの航空会社グローズヌイ・アヴィアの旅客機YAK42Dが4機並んでいる。そのすぐ下方に空港ターミナルビルが建っている。
南北に伸びる部分は空港ホテルである。その他も空港関連施設と思われるが、問題は、その南側に隣接するこの写真の大分を占めている整然と並ぶ
建物群である。これは、ロシア連邦内務省軍、いわゆるVVの兵舎群なのである。数万名の兵士を収容していると思われる。その前を空港から首都に
向かう道路が真南に走っている。


ハンカラ基地。北空港付近に内務省軍の兵舎が新設されるまでは、ここが北カフカス対テロ作戦合同軍の唯一無二の中心基地であった。チェチェンは、
2008年4月に対テロ作戦地域から外されているが、今もかなりの兵員が、この基地に駐屯している。装甲戦闘車両の駐車場や、戦闘ヘリコプターの
駐機場をみれば一目瞭然だ。基地の北側には、東西一直線に鉄道線路が走っている。東に向かうとチェチェン第2の市、グーデルメスがある。一方、
南側には、M29幹線道路「カフカス」が通っている。西側はロストフ・ナ・ダヌーに、東側は、ハサブユルトからダゲスタンに入り、カスピ海沿いに
南下し、アゼルバイジャンの首都、バクーに至る。


かつては、この駐車場を装甲戦闘車両-BTR(装甲兵員輸送車)や、BMP(歩兵戦闘車)が埋め尽くしていた。それと比べれば、かなり数は減っている。
それでも半端でない数の戦闘車両が維持されている。


戦闘ヘリコプターMi24が6機駐機している。これもだいぶ減っている。かつては滑走路にずらりと並んでいた。

グーグルの衛星写真の更新頻度は不明だが、戦闘車両やヘリコプターの数はかなり減っているようだ。ロシアの人権団体メモリアルが運営している
情報サイト「カフカスキー・ウーゼルが最近公表した
20124-6月の北カフカスにおける武力衝突の犠牲者数は、北カフカスの武力紛争を参照され
たい。


旧ソ連で、製造された戦闘ヘリコプターというと一番ポピュラーなのが、1978年に初飛行した、ローターがついた歩兵戦闘車(BMP)のようなMi24
である。最も多用されたはアフガニスタン戦争で、敵対したアフガニスタンのムジャヒディンは、アメリカから供給されたスティンガーミサイルで、
このヘリコプターを撃墜した。兵員輸送と地上攻撃双方を兼ねさせたため、どっちつかずだという批判が絶えず、攻撃のみを行うMi28や、運動性の
良い二重反転ローターのカモフKa-50などの後継機が開発されている。チェチェン戦争は、この戦闘ヘリコプターの実戦投入の最後となるだろう。
2015年が、Mi24運用の期限であるからだ。
Mi24 クリックすると画像拡大されます。 



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作成:2012.07.19
最終更新:2012.09.01.